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第4話 競馬ブーム到来とオグリキャップ
昭和の終わりごろから世間では次第に競馬熱が盛り上がってゆき、いわゆる競馬ブームを迎えるのだが、オグリキャップとタマモクロスが対決した昭和63年にはそのさきがけを象徴するさまざまな出来事があった。彗星（すいせい）のように現れたオグリキャップの大活躍、そして先輩芦毛馬タマモクロスとの対決がそのひとつであるのはいうまでもないだろう。
そしてもうひとつの大きな要因は、二世ジョッキー武豊のGI制覇であろう。弱冠19歳の武豊がスーパークリークによって菊花賞を制したことは新時代の幕開けを予感させた。
彼はターフの魔術師といわれた名手武邦彦の息子で、デビュー当時から将来を嘱望されていた。一般社会でも二世ブームで盛り上がっている時期であったので、武の活躍はまさに時流に乗るものであったといえるだろう。しかも、武はジョッキーとしては珍しい170センチの長身で、端正な容姿の持ち主なのである。そんな男が主役として登場するのだから、今まで競馬に興味がなかった人びとが注目するようになったのも当然であろう。
芦毛のスターホースと若いスタージョッキーの登場。
これらを期にして爆発的な競馬ブームが訪れたのである。ちょうどこの頃、年号が昭和から平成に変わったように、競馬のイメージも従来とはずいぶん異なる、明るく健全なものになっていった。ところが、競馬ブームで活気づくなか、その主役であるオグリキャップの周辺に大きなトラブルがあった。なんと、馬主の佐橋五十雄が脱税の容疑で逮捕されてしまったのである。佐橋は中央競馬の馬主資格を剥奪されてしまい、オグリキャップは新たなオーナー近藤俊典のもとで走ることになった。これで、公営時代から3人目の主人である。実際のところ、馬主が捕まろうが、何人目であろうが、馬自身にとってはどうでもいいことでしかない。けれども、世間はそうは見ない。
「あんな悪党のために走らされていたなんて」
「何人ものあいだをたらい回しにされてかわいそう」
といった同情論が出てきたのは極めて自然な成り行きであろう。
そんな折、オグリ自身に脚部不安が発症し、長期休養にはいることになった。まるで、世間の好奇の目から逃れでもするかのように。
悲劇のヒーロー・オグリキャップという図式が、次第に明確になってきたのである。
あり余る元気ローゼン〜菊花賞
2005年10月22日（土） 6時4分 スポーツニッポン
前日（２０日）に最終追い切りを消化したローゼンクロイツだったが、角馬場での調整に加え、坂路を１本７２秒２で駆け上がってこの日の調整を終えた。
橋口師は「角馬場だけだと元気が有り余っているみたいで、（厩舎への）帰り際に暴れるかもしれないので、ガス抜きのつもりで坂路を上がっておいた」と説明したが、緩んだ表情が状態の良さを現していた。
「ディープインパクトに勝てるかどうかは別として、とにかく状態に関しては自信を持って送りだせる。春よりは間違いなくパワーアップしているし、前走からどれだけ差を詰めてくれるか」と話した。この１週間、橋口師から強気の言葉は全く聞かれなかったが、一昨年ネオユニヴァースの３冠達成を、ザッツザプレンティで阻んだ橋口―安藤のコンビに不気味なムードが漂ってきた。
[ 10月22日 6時4分 更新 ]