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第8話 名勝負のない名馬
くどいようだが、メジロマックイーンは近年でも有数の名馬である。瞬発力不足などの弱点はあったが、能力の高さは認めないわけにはいかない。とくに長距離における底力は比類なきものがあった。
それは万人の認めるところでもあろう。
しかし、こうしてマックイーンの現役時代を振り返ってみると、さまざまな形で強さが絶賛されてはいるものの、レース自体は、ほとんどが平坦で単調だったことに気づく。すなわち「スッゲーつええ馬だな」といわせるレースは多いのだが、「スッゲー興奮したよ」といわせるレースがほとんどなかったのだ。
いわゆる“名勝負”と呼べるものがないのである。
筆者が冒頭で述べた疑問を解く鍵は、どうもそのあたりに潜んでいそうな気がする。
マックイーンが極めて強く見えたのは、勝つときはたいてい大のつく楽勝だったからである。もう、エンジンの違いとしかいいようがないくらい、これでもか、これでもかと、圧倒的な力を誇示するのである。際どい勝利など、決してなかった。
それは負けるときも同様で、際どい敗北というのはほとんどなかった。
メジロライアンを追い詰めきれなかった宝塚記念。瞬発力の差から、ゴールデンフェザントらに一瞬にして抜き去られたジャパンカップ。なにがなんだかわからないうちに、いつのまにかダイユウサクに差し切られていた有馬記念。ライスシャワーを差し返す素振りさえ見せず、あっさりと先着を許した天皇賞。負けるときも、あまりにもあっけなく負けるのである。
そんなわけだから、マックイーンの走った全21戦に、名勝負と呼べるものがないといわれても仕方ないであろう。さらに厳密に言えば、思わずギュッと拳（こぶし）を握り締めたくなるような“叩きあい”が、本格化した以降はただの一度もなかったのである。
勝つときはひたすら強く、負けるときは潔く散る。
要するに、勝負の行方が極めてあっさりしていた馬だったのだ。
ただ、このテの馬は、たいがいにして“圧勝か、惨敗か”というムラ馬と相場が決まっている。そういう馬は良きにつけ悪しきにつけ、派手な落差で人目を引く。けれども、メジロマックイーンという馬は、あっさり負ける馬ではあるが、決して目を覆いたくなるような大惨敗はしないのである。よくよく考えれば、極めて珍しい馬といわねばならない。
＜競馬＞３連単で史上最高１８４６万円馬券 東京競馬場
2005年10月22日（土） 18時28分 毎日新聞
東京都府中市の東京競馬場で２２日行われた日本中央競馬会（ＪＲＡ）の第１２レースで、１〜３着を着順通りに当てる３連単（馬番号３連勝単式）で、１００円が１８４６万９１２０円となる公営ギャンブル史上最高配当を記録した。これまでの最高額を５００万円以上更新した。的中は１８票だった。
１着は出走１６頭中単勝式１６番人気のゼンノエキスプレス、２着に１２番人気のカネスベネフィット、３着に３番人気のケイアイカールトンが入った。この組み合わせは３３６０通り中３３４４番人気だった。３連単は４５０万４６６３票が発売された。
中央競馬の過去最高額は４月９日の福島競馬第９レースの３連単の１０１４万９９３０円。これまでの公営ギャンブルの最高配当は、５月１３日に東京・大井競馬場で行われた第２レースの３連単１３００万３９０円だった。
[ 10月23日 2時25分 更新 ]